2007-02-20

ダーウィンの悪夢 DARWIN'S NIGHTMARE

映画『ダーウィンの悪夢』

体調最悪で、疲れから映画鑑賞中、眠気との闘いではあったけれど、『ダーウィンの悪夢』を鑑賞した。

この映画の評価としては、ドキュメントはウソつきという点と先進国側の人間の視点という事がネットにて語られている。

タンザニアのヴィトリア湖周辺という限られた地域の話題として、第三世界の問題を詰め込む語り口は事を単純化しているようにも見えるけれど、単純化させたグローバルだからこそ負としてのグローバルの問題点も浮かび上がったようにも思う。

ナイルパーチによる生態系の破壊はうがった見方をすれば、欧米、日本人のアフリカ侵略の構図だろうし、昨今語られるグローバルの視点も生態系の破壊だろう。

ワーキングプア、ストリートチルドレン、売春、エイズ、武器の密輸と負のスパイラルは疫病という形で世界に蔓延しようとし、乱開発が温暖化を推し進めもしている。

この映画が世界のアンバランス状態の起点を描くのみに終始した点は良くもあり、悪くもあると思う。

その結論を映画監督フーベルト・ザウパーはヨーロッパとアフリカを行き来する機長に「クリスマス、アフリカの子供達は武器を貰い、ヨーロッパの子供達はブドウを貰うんだ」と語らせる。

タンザニア=悲惨ではなく、先進国=悲惨という視点が抜け落ちてしまっている故にナイルパーチ不買など安易な「救い」に観客は向かうのだろう。

問われるべきは温暖な地に首都を構える先進国の資本主義システムがここの地球を食いつぶそうとしている事なのだと思う。

2007-02-14

グアンタナモ guantanamo

グアンタナモ

映画『グアンタナモ、僕達が見た真実』
観てきた。

アメリカの民主主義のでたらめさは1920年代のアメリカ史上最大の汚点と言われ続けられている「サコ&バンゼッティ事件」から何も変わらずにいるのだろう。

「サコ&バンゼッティ事件」はイタリア移民として堅実に働いていた二人が冤罪に巻き込まれ、一方的な立証で死刑になった話で、あのフォークの神様、ウディ・ガスリーもレコードに吹き込んでいる

そして、ベトナム戦時下、『死刑台のメロディ』として映画化され、ジョン・バエズが劇中死刑になった二人に向けて、「勝利への讃歌」を高らかに歌い、鎮魂していた。

『グアンタナモ、僕達が見た真実』は9.11直後、世界貿易センタービルの敵討ちとして、シルクロードのクロスロード、アフガニスタンをアメリカが空爆した時、アルカイダの一員の嫌疑をかけられ、キューバ、グアンタナモ収容所で気も狂わんばかりの拷問に耐え続けた在英パキスタンの若者たちの実話。

それでもボクはやっていない』のような良質の人権擁護映画がせっかく生まれたのに、痴漢冤罪という狭い枠でしか観られていないような日本において、これらの人権擁護がどこまで理解されるか気にかかるけれど、単に戦争の裏側を描いた映画などではけしてない。

ただし、尋問される側の人権擁護のみを描き、管理社会の手先にならざる終えない収容所に詰めるアメリカ兵の感覚麻痺という人権擁護を描けていないのは残念に思う。

人を物以下に扱い、虐待するのが役目の彼らの社会復帰は尋問される側と同様に困難なものであろう。

職務全うという綺麗事で人間のナチュラルな感覚を破壊する事。これもまた人権無視なのだから。

玉石混合ではあるけれど、韓国映画『もし、あなたなら 6つの視線』が人権とは何かを教えてくれると思う。

2007-02-13

実写版「サザエさん」 "Sazae-san"

実写版「サザエさん」

清川虹子を検索していると。

左から… ノリスケ(仲代達矢)、ノリスケの恋人ミチコ(青山京子)、マスオ(小泉 博)、サザエ(江利チエミ)、監督(青柳信雄)、フネ(清川虹子)、波平(藤原釜足)。

うろ覚えの記憶に実写版「サザエさん」

ジャズにルンバ、マンボ、フォルクローレ、アラブの「ウスクダラ」世界のいろんな音楽を歌っていた江利チエミのサザエさん。

映画、音楽も国際色豊富に巷にあふれ、世界を知ろうとどん欲に文化芸能が花開いた1960年代。

「夢で逢いましょう」も囚人ソングの禁歌「夢は夜開く」に取って代わる以前のお話。

あぁ、懐かしのジャパニーズ・ルネサンス

グローバル知らずのグローバルバトル、愚かなり。

2007-02-12

女は度胸 woman is courage.

映画『喜劇 女は度胸』

森崎東監督のデビュー作『喜劇 女は度胸』(1969年作品)は倍賞美津子のデビュー作でもあり、当時売れっ子の渥美清と清川虹子の共演場面がスケジュール上どうしても都合が合わずに、合成を使わずに撮影に工夫された作品。

物語は清川虹子母さんがどっかり腰据えたお話。

「女はご飯と一緒に涙を飲み込むもの。男は酒と一緒に涙を飲み込むもの」

家族崩壊、核家族化の始まり、フォークが流行り、女達が「私も人間」と声高に語り始めた時、古い女は出ていく子供らを見送り、酔いつぶれた駄目亭主に布団を被せる。

「あぁ、私は豚だよ。」
「豚にしたのは誰だい!」
「汚れた物は元には戻らないのさ」

ウーマンリブで自由勝ち得た女達は古い女達を振り返ったのでしょうかね?

女の職場の親睦会役員の中の黒一点。

一年の総まとめ、総会を終え、出来れば専業主婦でいたいお母さんたちのパート労働の居場所確保にお付き合いしてきて、ふと、この映画を思い出す。

『産む機械』に専念も出来ず、共稼ぎの上に、産んだ子供は学歴社会の受験戦争。

「汚れた物は元には戻らないのさ」

キャリアウーマンにもならず、パート労働一筋に生き、夫や子供の面倒が片手間になる事を詫び続ける女たちの酒盛りは続く。


2007-02-10

我が祖国 This Land Is Your Land

トラヴェシア

大工哲弘さんの『蓮菜行』の2枚目後半はやはりとりわけ素晴らしい。

「一坪たりとも渡すまい」で東シナ海の平和を願い、「標準語励行の唄」で八重山史を「国民の煙草 新生」で、日本庶民感情を歌い連ねて、ラスト曲人種差別の少ないブラジルへの憧れ「トラヴェシア Travessia」に辿り着く。

ちょっと気になり、「トラヴェシア Travessia」の元歌を歌ったミルトン・ナシメントのCDを聞き返す。

「トラベシア Travessia」は1960年代軍事政権下、若者の反逆の時代、デビューを果たしたミルトン・ナシメントの初期代表曲。

君が行ってしまった
僕の人生には夜が来た
僕は強いさ。でもどうしょうもない
今日じゃ涙も止まらない
この家も自分のものじゃなく
自分の場所じゃないみたいだ
僕はひとり、耐えられない
話したい事がたくさんあるんだ

あきらかに軍事政権となり、自由を失った者の哀しみを歌った歌。歌は「それでも僕は生きていく/もう夢は見ないのだから/今日僕はこの人生を、自らの力に頼んでやっていく」と締めくくられる。

数年後、世界平和を歌う先進国ロッカーにミルトンはこんな歌を贈る。

君たちは知らない この世界のごみ溜めを
怯える事などない 孤独ももう必要ない
毎日は生きるための日だ

「レノンとマッカートニーに捧ぐ」
アルバム『ミルトン』収録

言論弾圧に歌のないアルバム「MILAGRE DOS PEIXES 」を出し、その後、仲間とCLUBE DA ESQUINAを作り、郷里で活動続ける。

ブラジル民主化の頃、「学生の心」「人生のダンスパーティ」などの名曲を歌う。

日本のミルトン・ナシメント(笑)岡林信康は90年代「我が祖国」という歌を歌う。

母なる大地埋め立てろ 煙の工場でモノ作り
他国に売ってゼニ稼げ 食い物なんぞは買えばいい
母なる大地を切り刻め カラダを売るようなものだけど
慣れてしまえぱ何のこと 今じゃガキでもカラダ売る

ああ我が祖国、日の本は 小金のうなる朝日楼

お金を生まぬ無駄な物 愛する国から消してやる
あの山削れハイウェイ コンクリートでメイキャップ
煙は進歩のバロメーター お水や空気が汚れても
他所から買えばええじゃないか 金で買えないものはない

ああ我が祖国、日の本は 小金のうなる朝日楼

今じゃ世界のAクラス 朝から頬張るハンバーグ
小学生の成人病 健康ブームにダイエット
病気を知らぬは野蛮人 文明人はデリケート
夏には冷房、冬暖房 お天道様など知りまへん

ああ我が祖国、日の本は 小金のうなる朝日楼

アルバム『BEAR KNUCKLE MUSIC
(1990年作品収録 USENの音楽ダウンロードサービス『OnGen』試聴購入可能)
iTunes Music Store 我が祖国(iTunesインストール済みで利用可能です)

暖冬から猛暑へ?
日本のレノンとマッカートニーに捧ぐ

世界の平均気温、1月も記録更新 北半球の暖冬顕著

性と文化の革命 sexual revolusion

バンザイなこっちゃ

昨年、仲間との忘年会。知り合いの店に行き、カラオケを楽しんでいる時、何げに岡林信康師匠の歌があるかどうかチェックしてみた。

案外いろんな歌が入っており、ランキングを見ると「性と文化の革命」という団塊オヤジしか知らなそうな反体制時代の歌がトップ。これにはびっくりした。

まぁ、岡林の少子化予言ソングだから、今、トップに歌われていてもおかしくはないけど。

一度団地の中を歩いてごらん
どこの家庭も子供は二人か三人
何人子供を作るのかを
きめるのは給料で二人じゃない
だからどこも子供の数は同じ
もしもみんなが好きなだけ子供を
つくる金とひまと場所をよこせと
さわぎだしたらさあたいへん
人は増えるはやとわにゃならぬ
きっと誰かさんはあわてるだろう

反体制から自分探しの自虐旅「自由への長い旅」をはじめた師匠にとっては面はゆいのかも知れないけど。

岡林信康・ドイツ鳩の世界
ナチュラリスト岡林師匠は自然と戯れられる自由を守ろうとしている。

2007-02-02

奴隷船 Slave ship

何の本に書かれていたのかおぼろげだけど、
黒人奴隷はアフリカから連れさらわれ、障害を持った者は海へ、五体満足な者は白人社会に連れさらわれた。

ボルヘスの「恥辱の世界史」にて地獄さながらの金坑で呻吟しているインディオに同情したスペインの宣教師が王に進言して、代わりの黒人を輸入して、地獄さながらの金坑で呻吟させるというようなねじくれた博愛主義は無数にあると指摘する。

日本の満員の通勤電車を「奴隷船」と海外メディアが報じた高度成長期、住宅は「鶏小屋」と呼ばれていた。

岡林信康もこんな風に歌っている。

「あんたの云っている自由なんて
ブタ箱の中の自由さ
俺たちが欲しいのは
ブタ箱の中で より良い生活なんかじゃないさ」
岡林信康「それで自由になったのかい」より
アルバム『わたしを断罪せよ』(1969年作品)より

ブタ箱の中で、「機械呼ばわりするな!」と怒ったってしゃないのに。

「有難や有難や 有難や有難や
金がなければ くよくよします
女に振られりゃ 泣きまする
腹がへったら おまんまたべて
寿命尽きれば あの世行き
有難や有難や 有難や有難や」
守屋浩「有難や節」より[CD]

地球温暖化進行曲 Song of Global warming

朝倉喬司の『遊歌遊侠 今年の牡丹はよい牡丹』を読んでいて、植木等の項で紹介されている「地球温暖化進行曲」が凄く聴きたい。

調べるとクレージー・キャッツのコピュレーションCDに収録されているようだけど、曲名表記は植木等以上の無責任。(笑)

「地球温暖化進行曲」なのに「地球温暖化行進曲」って、歩いてどうする。(笑)

まずは本論で紹介されている抜粋された歌詞をば記載。

地球が暑くなって、どこわりい
暖房いらずで、いいじゃないか

男は腹巻き、ステテコで
女はビキニで、盆踊り、ソレ!

どんどん、だんだん、温暖化
どんどん、だんだん、温暖化

こんな地球に誰がした

お世話になりました

海の向こうでは二酸化炭素世界トップの排出国の大将、ブッシュ君のCO2ビジネスが始まっているようだけどCO2退治だけじゃ、オーバーヒートは止まらないって。

温暖化認識疑問、異論でも「地球温暖化進行曲」はお勧め曲となっている。(桜井淳 発言研究まとめ@Wiki - 地球温暖化論)

やっぱり買うかな。(笑)