2011-08-29

あぜ道のダンディ Azemichi no dandi

こんな大変な時代におじさんやってる50親父が主役の泣き笑いコメディ、同世代として、うーん、判るなぁと涙ぐんじゃった。

妻に先立たれ、大学進学の息子と娘からはろくに口もきいても貰えず、かといって、こちらから切り出す事も出来ず、身体の不調も幼馴染みの親友以外には誰にも言えずに悶々とするおっさん。そんなおっさん役をデビュー作「博多っ子純情」以来初めての主役を務める光石研が演ずるその姿に、生活環境はまるで違うのに判っちゃう自分を発見する、そんな映画。

そして、そんな親父にそっくりなニートの息子と秘かに親父を心配している娘に泣かされて、そんな家族のためにまたムキになって生きようとする親父。

人生それでいいジャンと思うし、愚痴を言い合える友達がいるなら最高ジャンとも思う。社会がどうのこうの、政治がどうのこうの、言う前に家族を思う馬鹿親父であればそれでいいジャン。

先日、スーパー銭湯で小さな子連れの新米パパに、子離れ終えたベテランパパが、「息子は当てにならないけど、娘は結婚したら父親に付いてくれるよ」と話していたのを思い出し、この父親そっくりの息子は親父そっくりに勝手な理屈並べて、自分の家庭第一になり、娘は嫁ぎ先から親父を気遣うようになるんだろうなと思うと、「あぜ道のダンディ」もひとりの人生の一里塚に思える。

社会に流され、政治に翻弄され、安月給の見栄張り親父は加齢臭を気にしながらも自分であろうとする。

それは先に見た救いのない映画「BIUTIFUL ビューティフル」にも似たもの悲しいけど、美しい生き様。「男は泣くな」と思いつつ、泣いてしまう弱い弱いお父さん。だから、人はひとりじゃ生きられないんだよね。

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