2013-03-22

故郷よ La terre outragée

チェルノブイリの隣町プリピャチ。1986年の春、4月26日「100万本の赤いバラ」が歌われる結婚式。幸福な花嫁に憧れる少年。式場の傍の池に魚の死骸が浮かび黒い雨が降る。

原発事故を知らされる以前ののどかなプリピャチの街がとても美しい。

幸福な人々の暮らしは突然、強制退去を命じられ、離散していく。

10年後、見えない汚染の街中に故郷から離れられない人たちがいる。

結婚してすぐに夫を亡くし、求婚されるも被曝症状に悩む花嫁だった女性。父が死んだと信じられない花嫁に憧れた少年。そして、故郷へ帰ろうと旅を続ける少年の父。

経済成長を高らかに宣言するソビエト連邦の看板は朽ち果て、求婚された女性はロシア革命の地、オデッセイの悲劇の階段で恋人と別れる。

たったひとつの原発事故で失われたものを追い求める人達の物語は混沌としていた。

0 件のコメント: