2014-07-07

罪の手ざわり A Touch of Sin

資本主義社会に変わっていく現代中国で実際に起きた四つの事件。名匠ジャ・ジャンクー監督の新作はこの不条理な四つの事件を連ねた物語。

単にオムニバスにせずにそれぞれの事件の主役がすれ違うことで物語はどこでも起こり得る話として存在する。

公金横領を告発しようとして弾圧され、殺傷に及ぶ男、出稼ぎに出て、強盗を繰り返し送金する男、不倫相手と別れ、女手ひとつ働き、客からセクハラ受け、殺傷する女、同僚を怪我させ、治るまで生活費を取り立てられ、それが嫌で別な仕事に就くが追いかけ回され自死する若者。

すべてはお金の価値が支配する現代中国の不条理を淡々と描いて見せる。

告発するでも哀れむでもなく、現代の無情を見せる手法は殊更感情移入する社会派と一線を画したが故に単調でもあった。

それだけスキャンダラスな描き方に慣れてしまった現代人の自分をもこの映画は映し出す。

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