2016-03-08

最愛の子 Dearest

実話を元にした話らしく、3歳の我が子が誘拐され、必死の捜索の後、3年後、農村で暮らす女に育てられているのを見つけ、取り返す。

実の親と育ての親の葛藤劇とされるけど、前半は我が子を必死に探す実の親の物語で、後半の育ての親の子どもを取り返そうとする話が実の親の話に霞んだ感じがする。

子どもをさらい、売り飛ばすという話は世界中にあるようで、里子里親がポピュラー化しない日本では異常な話となるのだけど、里親にもなれない中国農村でのさらってきた子を育てる家庭の話も日本では理解しがたい。

日本も戦前は食い扶持減らしとして、里子に出したりしていたらしいけど、子どもをさらって育てる話もおそらくあっただろう。

我が子を探す親の話は理解出来ても、さらい育てた子を取り返そうとする親の話はやはりどこかで批判的に観てしまう。

そこがこの物語の難しいところで、さらい育てた子を取り返そうとする親の問題も世界にはあるのかなと思う。

逆に日本でなかなか定着しない里子里親が大人の愛を知らない大人になった孤児たちの問題があることもこの映画を観て思いだした。

子どもは社会の宝。そういう感覚がなくなった日本の不自然さもこの映画の理解を誤らせる事になるのかも知れない。

誤った「子どもは社会の宝」に対する批判であり、「子どもは社会の宝」を描いた作品なのだから。

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